2005年01月 アーカイブ

2005年01月31日

「ヨセミテ」の語源

1851年、マリポサ大隊のBunnellによって命名[1]された「ヨセミテ渓谷」ですが、Daniel E. Anserson氏が「ヨセミテ」の語源について、簡潔な紹介記事を書いています[2]。 それによると 「ヨセミテ」はミウォーク(Miwok)族により、ヨセミテ渓谷に住むインディアンを指して使われていた言葉とのことです。その意味は”those who kill”(註:日本語では「殺し屋たち」という意味でしょうか)。「ヨセミテ」の”yos”は「to kill」、”e”は「one who」、そして複数形をさす”meti”の三つの部分に分解されるようです(註:細かい事ですが、”Yosemite”ではなく”Yosemeti”を使い、それを3つに分解しています)。ヨセミテ渓谷を取り囲むインデアンの部族は、彼らを恐れ、そう呼んでいたようです。テナヤを酋長とするヨセミテ族はシエラの東側のモノ・パイユート族を含むいくつかの部族から成り立っていました。パイユートは伝統的に平和的なミウォーク族の敵でした。 さて、ヨセミテ族はヨセミテ渓谷を”Awooni”(アワ二ー)と呼んでおり、それは gaping mouth (註:gapping は「裂ける」、「ぎざぎざになる」)を意味しています。また、そこに住む自分たちを”Ah-wah-ne-chee”(アワニーの住人)と呼んでいました。もともとは渓谷内の最大の村(ヨセミテ滝の南東にあった)を指していましたが、後に渓谷全体を指すようになりました。マリポサ大隊の指揮官Savageは、酋長テナヤが説明しようとしたアワニーの意味を取り違えたとBunnellは述べています[3]。Bunnell自身はヨセミテを”Grizzly Bear”の意味だと書いてていますが、これもまたSavageによる間違いだったようで、”isimati”というMiwokの「熊」を"yosemite"と聞き違えたようです[4,5]。

参考:

[1] Lafayette H. Bunnell, ”Discovery of the Yosemite” (1892)

[2] Daniel E. Anderson, "Origin of the Word Yosemite"(December 2004)
Anderson氏は、 「ヨセミテ」の意味及び「ヨセミテ」を「熊」と間違えた理由の説明として、UC Berkeleyの言語学教授Beelerの文献を引用しています。氏のThe Yosemite webには膨大な量のヨセミテに関する古典本や文献が集められています。各資料への「ヨセミテ国立公園大好き!」からのリンクを快諾していただきました。ここで改めて感謝の意を表したいと思います。

[3] ”Discovery of the Yosemite”[1]より
「When asked, Chief Tenaya, tried to explain the meaning of “Ahwahnee:” by using sign language. Tenaya “by the motion of his hands, indicated depth, while trying to illustrate the name, at the same time plucking grass which he held up before me.” Major Savage mistakingly interpreted Ahwahnee to mean “deep grassy valley,” when Tenaya was trying to sign “gaping mouth.” 」 Savageは”deep grassy valley”と訳した。

[4] 同じく”Discovery of the Yosemite”[1]より
「At the time I proposed this name, the signification of it (a grizzly bear) was not generally known to our battalion, although "the grizzlies" was frequently used to designate this tribe. Neither was it pronounced with uniformity. For a correct pronunciation, Major Savage was our best authority. He could speak the dialects of most of the mountain tribes in this part of California, but he confessed that he could not readily understand Ten-ie-ya, or the Indian guide, as they appeared to speak a Pai-ute jargon.」 明らかにBunnellはSavegeの通訳により、ヨセミテを「Grizzly」意味と解釈している。

[5]Beelerの文献([2]の記事の最後に掲載)より。
…The name of Yosemite has been connected with the Sierra Miwok word for ‘(grizzly-)bear’ and with a collective noun meaning ‘the killers’ or ‘a band of killers.’ In Mrs.[Lucy Shepard] Freeland’s “Language of the Sierra Miwok” ‘bear’ appears as i¨?i¨'・mati (p. 3) and yo?e´-・met^i is defined as ‘the Killers’ (p. 159).…

投稿者 toshi : 04:19

2005年01月30日

加州25セント硬貨いよいよ

ハーフドームとジョンミューアをデザインした25セント硬貨がいよいよ月曜日にお目見えのようです。

(NPSのDaily Reportより)

New Today
It's coming! It's coming!
The Times-Standard

On Monday, the U.S. Mint will release the California state quarter -- the first state quarter to be released this year.

The California state quarter will bear a likeness of John Muir, one of the world's most famous and influential conservationists. Muir convinced Congress in 1890 to establish Yosemite National Park and later inspired President Theodore Roosevelt to expand Yosemite and create additional national parks and forests.

The U.S. Mint began minting the state quarters in 1999 and has scheduled five quarters to be released each year -- running from the Delaware quarter on Jan. 4, 1999, until the Hawaii quarter on Aug. 21, 2008.

The California state quarter will be the 3st in the series to be issued. Other quarters being minted and released this year include Minnesota, Oregon, Kansas and West Virginia.

Yosemite Forum 2005

NPSが"Yosemite Forum 2005"のゲストスピーカーとスケジュールを発表していました。
これは月例で行われる講演会で、ヨセミテおよびシエラネヴァダにまつわるさまざまな分野の研究者がゲストスピーカーとして招かれています。

http://www.nps.gov/yose/news/2005/form0125.htm

投稿者 nishimura : 18:47

Conditions Update

NPSのConditions Updateのページで、最近のヴァレーの写真が公開されています。雪化粧です。

ハーフドーム(1月27日)
ヨセミテ・フォール(1月27日)

投稿者 nishimura : 18:42

2005年01月23日

加藤則芳オフィシャルサイト"Backpacker's Almanac"

「ジョン・ミューア・トレイルを行く」でおなじみの作家・加藤則芳さんがオフィシャルBlogを立ち上げられました。
2005年4月1日スタートで、東海岸のアパラチアン・トレイル3500kmの旅に出られます。

加藤則芳オフィシャルサイト "Backpacker's Almanac"

以下、加藤さんから頂いたメールです。
加藤さんから、こんなふうにこのサイトを見ていただいているのはとても光栄です。
これも、執筆者のみなさん+ヨセミテファンのみなさんのおかげです。

『西村さま、
お元気ですか?お久しぶりです。
気象異常のひどさが、気になりますね。
アパラチアン・トレイルの準備に追われています。忙しいなかで立ち上げたブログなので、けっこうそれ自体がたいへんでした。まだまだコンテンツが少ないのですが、アパラチアン・トレイルの日記の受け皿として、今年いっぱいは活躍することになると思います。
西村さんのヨセミテページの充実ぶりにいつも目をみはっています。
もし、よろしければ、西村さんのページにリンクしていただければ、ありがたいのですが。可能でしょうか?とともに、西村さんのページをぼくのブログにもリンクさせてください。よろしくお願いします。また、関係されているホームページにも宣伝していただければうれしいです。ずっと、そういうことには、あまり興味を持っていなかったのですが、立ち上げたからには、なんとか広めたいですからね。
今後とも、よろしくお願いします。
加藤則芳』

投稿者 nishimura : 10:37

2005年01月21日

Half Dome初登頂:1875年

”The Yosemite Book”(1869年版)でWhitneyに登頂不可能("rising to the height of 4,737 feet above the Valley, perfectly inaccessible, being probably the only one of all the prominent points about the Yosemite which never has been, and never will be trodden by human foot.”)と言わしめたハーフドームでしたが、その初登は意外にも早くやってきました。以下はMuirの文[1,2]にもとづく初登の記録です。 
 バレーの住人John Conwayは、岩登りの得意な自分の子供たちをHalf Domeに向かわせます。鉄釘を岩の割れ目に打ち込み、それにロープを固定しつつ最後の斜面(現在のケーブルルート、斜度46度)を登らせるつもりでした。子供たちは300フィートの高さまで達しましたがそこから先は岩にドリルで穴を開けない限り突破できないことがわかります。そこでConwayは、子供たちに撤退を命じます。その数年後(1875年)、同じバレーの住人George C. Andersonは、彼らが残したロープを辿り、最高到達地点まで達します。そこからは、5〜6フィート間隔で岩にドリルで穴を穿ち、ボルトを打ち込んでいきました。ボルトはロープの固定と足がかりとして使われます。そして数日後(10月12日)、ついに頂上に達しました。Mt. Shasta[3]の旅から帰ってきたばかりのMuirは、11月10日に第9登[4]を果たしました。面白い事に、切れおちている崖による視覚への影響のせいか、ドームの上から見る渓谷の眺めは、そこより低い場所に比べて劣ると書いています。また彼らしく、頂上にある植物の事が書かれています。
 Muir本人としてはHalf Domeが手付かずの状態であってほしかったようですが(”For my part I should prefer leaving it in pure wilderness…”)、1919年にシエラクラブによって600フィートのジグザグの階段状トレイルが前衛のドームに、最後の部分には800フィートの長さの2本のケーブルが恒久的に建設されることになります[5]。

参考:

[1] John Muir,"The Yosemite"(1912年出版)
"The South Dome"の章にHalf Domeに登ったときのことが書いてある。South Dome はHalf Domeの別名。

[2] Francis P. Farquhar,"History of the Sierra Nevada", University of California Press
Farquharは、Muirが”San Francisco Evening Bulletin”に投稿した記事(1875年11月18日)を引用して、Half Dome登頂にまつわる話を書いている。Muirの投稿記事はオンラインでは見つからず。Farquharの本はAmazonより購入可。

[3] MuirはMt. Shastaから戻ってきた後の11月10日(Andersonの登頂から1〜2ヶ月後)に登ったと書いている。しかしBade[6]の5月4日付の手紙によれば、Shastaに行ったのは4月、また1875年11月2日には、妹にYosemite Valleyから手紙を出しており、”前夜、2ヶ月半のSierra Nevada Forestの旅から帰ってきた”と書いている。Wolfe[7]の本には10月20日付の日記があり、Tule(南シエラ)のMiddle Forkにてと書かれている。 

[4] Shirley Sargent,"John Muir in Yosemite",Flying Spur Press
Muirは9人目、Galen Clarkは6人目の登頂者と書いている。出展は不明。また1919年のケーブル設営の裏話も書いている。それによると、Muirの友人だったM. Hall McAllisterが5,000ドルを寄付し、シエラクラブが工事をしたとのこと。

[5] Linda Wedel Greene,"Historic Resource Study: Yosemite", U.S Dept. of the Interior

[6]William Frederic Bade,"The Life and Letters of John Muir"(1924)

[7] Linnie Marsh Wolfe,”John of the Mountains : Unpublished Journals of John Muir”(1938)
Badeの本はMuirの手紙を集めた本だが、これはMuirの日記を集めた本。解説等はほとんどない。Amazonより購入可。註:Wolfeによる別の本に”Son of the Wilderness”がある。これはMuirの手紙などがかなり切り刻まれ、その間をWolfeの文が繋いでいくという形で書かれており、読み物としては楽しいが、資料として取り扱うときにはかなり使いづらい。Pulitzer賞受賞の本。

投稿者 toshi : 14:48

2005年01月20日

Conditions Update

NPSのConditions Updateのページのハーフドームの写真が1/14のものに更新されていました。

ハーフドーム(1月14日)

投稿者 nishimura : 01:56

2005年01月16日

120号

2005-1-15.jpg

Big Oak Flatゲート〜Merced Grove〜Crane Flat付近の道路(写真)には結構雪が残っていました。
チェーン規制こそありませんでしたが、雪上の運転となるので注意が必要です。 渓谷内の道の一部は朝には凍っていました。 Badger Passへの道路にもチェーン規制は入っていませんでした(一部雪あり)。

Big Oak Flat(Grovelandの西)への近道Old Priest Road(急登)は一週間前からクローズになったとのことです。

投稿者 toshi : 10:14 | コメント (1)

2005年01月14日

今日は晴れ

YAの生中継カメラを見ていますが、今朝はすっきりと晴れていますね。

2005年01月13日

2004年はビジター減少

昨年(2004年)の一年間のヨセミテ入園者数はこの14年において最も少なく、340万人を下回ると、地元紙「Fresno Bee」が報じています。

http://www.yosemite.org/newsroom/clips2005/january/011005.htm

投稿者 nishimura : 01:55

2005年01月10日

Yosemite 近況

road0109.jpg

雪のため(加えて雨による道路凍結のため)、ヨセミテバレーに出入りする道路は
140号〜エルポータルロード以外の全てが今朝は通行止めでした。
バレーからトンネルビューにも行けませんでした。
バジャーパスのスキーエリアも閉鎖中です。
雪が降りすぎて閉じてしまうとは…。

投稿者 suyama : 12:08

2005年01月09日

Tuolumne Meadowsでの積雪

ちょうど一年前、Tuolumne Meadowsでの積雪(Snow WC:雪が含む水の量に換算)は14.62インチでした。今日は14.38インチです。 今年の冬は雪が多いと思っていましたが、意外にも現時点では同じくらいです。 ちなみに去年の最大積雪(19.78インチ)は、3月3日に記録しました(後半はあまり雪が降りませんでした。ので、Tioga Roadは5月中旬に開通しました)。

降水量データ

投稿者 toshi : 01:15

2005年01月08日

YAの生中継カメラを見ています。今日は結構たっぷり降っているようです。

投稿者 nishimura : 02:13

2005年01月06日

Conditions Update

NPSのConditions Updateのページで、最近のヴァレーの写真が公開されています。雪化粧です。

ハーフドーム(1月5日)
ヨセミテ・フォール(1月4日)

投稿者 nishimura : 18:31

Badger Passの積雪状況

去年のクリスマスごろから既に4フィートほど積もりました。
今年の冬はエルニーニョで積雪が多くなりそう、とのことです。
Tioga Passの開通日はいつごろでしょう?

Date: Wednesday, January 5, 2004
Time: 5:02am
Base Depth: 6-9 feet
New Snow Last 24 Hours: 6 inches and still falling.
Surface Conditions: Powder and Groomed Powder.
Weather Forecast: Partly cloudy. Highs 22 to 32.

投稿者 toshi : 13:34

2005年01月01日

新年おめでとうございます

2005年が明けました。
本年も「ヨセミテ国立公園大好き!」をよろしくお願いします。

投稿者 nishimura : 01:04