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市民公開シンポジウム「いのちと食と農のつながり」

 日本ウエルネス学会は今年で学会設立6年目を迎え、現代社会にあって幸福で充実した人生を送るためのさまざまな研究、実践、教育に取り組む人々をつなぎ、学会大会を通じて研究交流を深めてまいりました。昨今、厳しさを増す社会の情勢から、一つひとつの「いのち」の大切さについて深く考えさせられることを鑑みて、今回の開催テーマを「いのちーウエルネスに生きるー」と設定いたしました。学会大会開催にあたり、私たちの「いのち」を育む農や食についてともに考える機会を以下の通り、「市民公開シンポジウム」として開催いたします。みなさまのご来聴を歓迎いたします。

●主催:日本ウエルネス学会
●日時:2009年9月23日(水・秋分の日)午後12時45分〜3時00分
●会場:「同志社びわこリトリートセンター」(滋賀県大津市北小松179  TEL.077-596-0008)
 メインスピーカー:今里 滋(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)
 パネリスト:赤松利恵(お茶の水女子大学)・大柴由紀((財)キープ協会)
● 予約不要・入場無料

▼会場へのアクセス
JR湖西線「京都」より「北小松」まで普通電車で約45分、新快速で約35分、JR湖西線「北小松」下車、北へ徒歩25分

日本ウエルネス学会第6回大会事務局
〒602-8580 京都市上京区今出川通り烏丸東入 同志社大学大学院総合政策科学研究科 西村仁志研究室内
TEL & FAX.075-251-4906 E-mail: whitewolf@mail.doshisha.ac.jp
大会ホームページ: http://www.yosemite.jp/wellness2009/

事例報告1「農作業体験は、食に対する感謝の気持ちを高めるか」
赤松 利恵(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授)
様々な食育活動の中で、「生産に関する体験」は、「食に関する感謝の念や理解」が深まり、「食べ残しが減る」ことが期待されている。「食べ残しが減る」と、「健康増進」や「環境保護」、「食料自給率の向上」につながると考えられている。
しかし、「食に対する感謝の気持ち(以下、感謝の気持ち)」があると、「食べ残さない」のか。そもそも、「感謝の気持ち」とは、何なのか。この疑問に対し、「感謝の気持ち」を測る尺度を作成し、小学5年生を対象に、「食べ残し」と「菜園活動の経験」との関係を調べた。その結果、「感謝の気持ち」「食べ残し」「菜園活動の経験」は関係していることが示された。そこで、次に、農作業体験を行い、その前後で、「感謝の気持ち」の変化を調べた。しかし、半年間の農作業体験によって、「感謝の気持ち」は変化しなかった。これらのことから、農作業体験は継続することとその内容が重要であると考えられた。

事例報告2「実践報告 キープ自然学校の農家さんとのおつきあい」
大柴 由紀((財)キープ協会 研修交流事業部 食育部調理課課長 )
キープ自然学校は小中学生の体験学習や社会人・大学生の研修、キープ森のようちえん等幅広い年齢層や目的で利用される宿泊施設です。そこでのお食事は滞在中のお客様のニーズと相反することのないよう、できるだけ地域の食材を利用した季節感のあるものを心がけています。
キープ協会のある山梨県北麓清里高原は標高1400mに位置しており、高冷地酪農が盛んです。また八ヶ岳南麓の標高差を活かして最盛期には様々な作物が作られます。季節に反することなく、“思い”を持って農業に取り組んでいらっしゃる農家も多く、私たちキープ協会は“消費者の立場として地域の農業に協力する”ことを大切にしています。近隣農家とのおつきあいを大切にし、地域の農家さんと共に歩む中で、調理場としてできることを日々模索中です。

メインスピーチ:「いのちを育む農と食から拡がるソーシャル・イノベーション」
今里 滋(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授・研究科長)
 近代工業文明がわれわれの生活を覆い尽くす以前――日本では、高度経済成長が始まるまでであろうか――食の多くは、物流や冷凍・冷蔵技術の未発達もあって、地産地消であり、食生活の少なからぬ部分が自給自作でまかなわれていた。しかし、ハイテク、流通革命、バイオテクノロジー、広告技術等様々な目新しいキーワードで装飾された急激な社会変化は、われわれから食生活での自律と自治を奪い、ハバーマスの表現を藉りれば、食の世界もまた“植民地化”した。食と命が直結していることを考えると、食の自律の喪失は命の主権者としての地位もまた放棄することにもつながる。食の自律には農的生活の復権と“植民地解放戦線”の結成が不可欠である。本報告では、同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション研究コースや、私が理事長を務めるNPOの取り組みを例としながら、現代日本社会の食と農のパラダイム転換を展望してみたい。

▼今里 滋(いまさと しげる)プロフィール
同志社大学大学院総合政策科学研究科教授・研究科長
1951年福岡県飯塚市生まれ。九州大学大学院法学研究科博士課程修了、法学博士(九州大学)。九州大学名誉教授。2003年2月まで九州大学大学院法学研究院教授として行政学・地方自治論の教育研究に従事するも、同年4月に行われた福岡県知事選挙に出馬するため辞職。現在は、同志社大学で社会起業論や公共性論を担当している。NPOふくおか、筥崎まちづくり放談会などNPO法人の理事長や理事を歴任し、市民公益事業の分野でも活躍している。主な著書・編著書に『アメリカ行政の理論と実践』(九州大学出版会、2000年)、『アジア都市政府の比較研究』(九州大学出版会、1999年)、『情報と交流のネットワーク』(ぎょうせい、1998年)など。

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2009年09月16日 17:04に投稿されたエントリーのページです。

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