Seven Generations

「七世代先のひとびとのために」

アメリカ先住民のある部族は、部族全体にかかわる大事な決定をする際に「七世代先の子孫たち」のことを考えて決断するという。私の祖母(明治生まれ)は生前、「自分は子どもの頃、天保(江戸時代)生まれのおばあちゃんに育ててもらった」と言っていた。仕事に忙しい両親に代わり、食事をつくり、時には遊び 相手となり、童唄を教えてくれたのはおばあちゃんであったと。この方は私からみると四世代前のひと。
私には子どもがいて、そのうちに孫ができるかもしれない。孫は私から二世代先のひと。私はこの孫に天保生まれのおばあさんの話をしてやることができるだろう。天保生まれのおばあさんから、この孫までが「七世代」ということになる。
自分たちの「生きた」歴史は世代を超え、「ことば」で伝えることができ、自分はこうして七世代を繋ぐ大事な存在なのだ。「七世代」は自分を間に挟んでおよそ二百年である。二百年を超える「持続可能な未来」の創造がこの研究室の使命である。(西村仁志)