2014年広島豪雨災害に学ぶ災害ボランティア研修プログラムの開発(1)

日本環境教育学会第26回大会(2015.8.21-23 名古屋市立大学)で発表する研究発表の抄録原稿です。

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2014年広島豪雨災害に学ぶ災害ボランティア研修プログラムの開発(1)

〇西村仁志(広島修道大学人間環境学部)・降旗信一(東京農工大学農学部)

キーワード:広島市大規模土砂災害、災害教育、災害学習、災害ボランティアセンター、プログラム開発

1.被害の状況
 2014年8月20日未明、広島で豪雨による土砂災害が発生した。前日からの24時間雨量が257mmという想像を絶する雨は住宅地の背後の山々からの土砂崩れ、そして土石流となり、74名もの方々が犠牲となられ、家屋や道路への大きな被害をもたらしたのである。

2.ボランティアによる支援の状況
 8月23日には広島市災害ボランティアセンター(VC)が安佐南区・安佐北区の2ヶ所で活動を開始した。発表者ら(西村・降旗)も当面の支援について相談し、一般社団法人RQ災害教育センターからの支援をうけたRQ広島として広島の災害支援にあたるということ、そして本学会としてもこの動きに連携して「広島土砂災害緊急調査チーム」を立ち上げてメンバーを募り、安佐北区VCの現場に受け入れる体制を整えることとした。
 VCの運営は地元および近隣の社会福祉協議会のスタッフの他、関係団体、大学生、RQ広島を含め県外からも駆けつけた専門家などの寄り合い所帯ながら、毎日ミーティングと改善を重ねながら、毎日数百人、週末には1000人を超えるボランティアの受け入れと被災現場へのマッチング、派遣を行った。またこれらの動きと並行し、被災地区である安佐南区の八木小学校の児童を対象とした放課後のケア「ほうかご教室」の運営も行っている。

3.本研究の前提
地球規模の気候変動の影響を受け、このような集中的な豪雨災害は増加していくと考えられる。こうした災害に備える教育の必要性が各地の学校教育及び社会教育・生涯学習の場で高まっているが、現在までのところその教材化に関する先行研究や知見は極めて少ない。居住地・生活地がどのようなところに立地しているのか、緊急時に対応できる生活知として学ぶことが必要である。また災害に対応して現場支援の態勢を整え、一般の方々にも災害ボランティアとしての参加と学習の機会を設けることの意義や方法についても明らかにしていきたい。

本研究は、公益財団法人 河川財団の河川整備基金助成事業によって実施しました。