The Yosemite Book

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1869年に、California Geological Survey(カリフォルニア地質調査隊、Whitney隊)のJosiah Dwight Whitneyにより書かれた「The Yosemite Book」は、当時最も権威のあるヨセミテに関する案内書でした(これは豪華版で、後に写真なしの普及版「The Yosemite Guide Book」が幾度か改定、再販されます)。副題”A Description of the Yosemite Valley and the Adjacent Region of the Sierra Nevada, and of the Big Trees of California”に示されるように、ヨセミテ渓谷とその周辺、そしてマリポサのセコイアについて紹介されています。序章では、ヨセミテ渓谷が州立公園となり、調査隊が測量をするに到った経緯、マリポサ大隊のヨセミテの発見以降の話、インディアンによる地名の呼び方等についてまとめられています。2章でアメリカ全土から始まりカリフォルニア・シエラネバダに到る地勢・植生が述べられたあと、ヨセミテ渓谷(3章)、ハイシエラ(4章)、そしてBig Tree(5章)についてかなり詳しく書かれています。学者の書いた本で、かなり堅苦しいところもありますが、まだ地図の空白部が残る頃のヨセミテを知る貴重な一冊です。250冊しか刷られなかったこの本は、出版時の価格が10ドルという高価本で、現在では1万ドルを軽く越えるオークション価格が付いています。OctavoのCD本(写真)はJim Snyder(ヨセミテ国立公園の史家)のかなり興味深い前書きや、Carleton WatkinsとW. Harrisの写真や地図を含む原本の全ページの超高解像度写真が付いており、古地図・モノクロ写真に興味のある方にとってはお勧めしたいアイテムです。
Whitney隊の関連本として、メンバーのWilliam H. BrewerとClarence Kingが書いた二冊が挙げられます。「Up and Down California in 1860-1864」を書いたBrewerはWhitney隊の初期メンバーで、彼の本は1860年から1864年にわたる調査行の日記集です。ヨセミテに関しては、1863年の6−7月に、HoffmannとともにBig Oak Flatからヨセミテ渓谷に測量に入り、その後Mt. Hoffmann、Mt. Danaなどの登頂やSoda Springsを拠点として行ったTuolumne Medows一帯での調査、そしてBloody Canyonを下りMono Lakeへとぬけた時のことが書かれています。
一方Kingは、その著書「Mountaineering in the Sierra Nevada」の”Around Yosemite Walls”及び”A Sierra Storm”の章で1864年秋のヨセミテにおける体験を書き綴っています。エール大を卒業してから1年ほど経ったClarence KingとJames Gardnerは、1863年8月末にSacramentoでBrewerに合流します。そして翌年彼らは南シエラでの測量(Mt. Brewer、Mt. Tyndallの登山を含む)を終えた後、Gardner、Cotterらを伴いヨセミテ渓谷を訪れます。目的はヨセミテ渓谷がカリフォル二アに譲与された事を受け、その境界の測量を行うためでした。この二章は、Mt. HoffmannやYosemite Creek、ノースリム一帯での登山、ヨセミテの最初の冬の嵐からの脱出について書かれています。この本は、現在ではMuirのRitter登山記とともにシエラ登山記の古典となっています。

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